格安タブレットオシロ(FNIRSI-1013D)を買ってみた

Aliで138ドルの格安タブレットオシロ(FNIRSI-1013D)を見つけたので買ってみました。

↓こいつです↓ ja.aliexpress.com

結論

「メインオシロを持っている人が割り切って使うセカンドオシロ」としてオススメ。
ファーストオシロとしてはイマイチ。出費は倍になりますが、DS1102あたりを買った方が良いです。

以下、GoodポイントとBadポイントの概要。

【Good】

  • 可搬性(バッテリー駆動、小型軽量、ツマミ類なし)
  • コスパ
  • 画面の反応、操作感

【Bad】

  • カタログスペックを盛っている
  • エイリアシング耐性なし
  • 高感度レンジの不足

検証

RIGOL DS1104Zをリファレンス機として、下記の項目を検証してみます。

  1. 帯域
  2. サンプリング周波数
  3. エイリアシング耐性
  4. 電圧レンジ
  5. 全体的な操作感

両者のカタログスペックは下記のとおり。

RIGOL DS1104Z FNIRSI-1013D
アナログ帯域幅 100MHz 100MHz
サンプルレート 1Gsps 1Gsps → 実際は500Mspsくらい?
メモリ長 24Mpts 240kbit (30kpts?)
電圧レンジ 1mV/div - 10V/div 50mV/div - 5V/div
トリガ 種類多数 Rise/Fallのみ
液晶 800x480 800x480
バッテリー駆動 × ○(4時間もつらしい)
タッチパネル ×
価格 60000円ほど 15000円ほど

1. 帯域 ⇒○

左:RIGOL  右:FNIRSI

10MHzまでちゃんと観測できています。
1MHzの矩形波も、鈍ったりせずに表示できているので、そこそこの帯域幅はありそうです。
(まぁエイリアシング対策していないですからね…)

2. サンプリング周波数 ⇒×

どうみても1Gspsは出ていません。
50ns/divレンジから、ぐにょ…という動きとともに、等価時間サンプリングに切り替わっているようです。
youtu.be

リアルタイムサンプリングの限界が100ns/div、画面横幅が800pxなので1画面800サンプルとして…
800sample / (100ns/div * 14マス) ≒ 500Msps といったところでしょうか。
偶然FNIRSIさんのラインナップに500Mspsのポータブルオシロがあるので、それと同じかもしれません。

3. エイリアシング耐性 ⇒×

10MHz Sin波 を、異なる時間レンジで測定してみます。
左:RIGOL  右:FNIRSI

  • 1us/div

  • 10us/div
    おっと!何も見えなくなってしまいました。

  • 1ms/div
    盛大にエイリアシングしています。わかっている人向けですね。

youtu.be

⇒ FNIRSIの方はエイリアシング耐性がないので、デジタルオシロの原理を分かっている人でないと厳しいと思います。

4. 電圧レンジ ⇒×

左:RIGOL  右:FNIRSI

FNIRSIは50mV/divが限界です。観測できる信号はせいぜい0.1Vくらいまででしょう。
DS1104zは1mV/divまであるので、50倍の差です。

5. 全体的な操作感 ⇒○

画面切り替えは結構早いです。
タッチ操作は直観的で、ストレスを感じることなく使えました。
波形保存も速いです。

youtu.be

結論、可搬性を求める人向けのセカンドオシロには最適かなと思います。
自分は買って満足しています。